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December 24, 2009

診療報酬10年ぶりプラス改訂!医者の給料増やしてどうすんの?この不況下に!って誤解してる人多いんだろうねぇ。

 診療報酬 10年振りのプラス改訂!! なに?この不況下に医者の給料あげてどうすんだ?という声がネット上でも散見される今回の改訂。実際に大変な病気で療養中の方々や病気の治療に日夜専心している多くの方々など、多少なりとも診療報酬の何たるかをご存知の方は、この10年ぶりのプラス改訂幅がわずか0.19%に留まった事に失望感を通り越して絶望感を感じている方も多いと思う。この診療報酬、、はっきり言ってネーミングが悪いため、診療報酬=病院/医師の収入と誤解されている方が如何に多い事か。  
 
 診療報酬のなんたるかを簡単に言ってしまえば、”Aさんの治療のために国/保険組合は病院にX円まで払いますよ、それ以上はびた一文だしませんよ”という金額である。 たとえば、Aさんが盲腸になっていたとして、その手術の診療報酬は十数万円程、、手術室を掃除するおばちゃんが手術室を掃除して、麻酔科医師が術前診察をして、看護師さんがむだ毛を剃って、ベッドに運び、麻酔がはじまり、手術をする医師が数人、手術を補助する看護師やその他の電気メスや人工呼吸器、心電図モニターなどを管理する臨床工学士が付き添って、、、これだけの多くのスタッフが一人の患者のために一生懸命ベストを尽くして、さらに手術後の抗生剤やらなんやら、手術後の痛みを和らげるために麻酔科医師は特殊な技術を使って鎮痛剤を使ったり、、。 手術とその後の入院一日づつについて患者の治療には費用がかかる訳ですが、その対価が診療報酬です。 つまり、その診断治療に応じて、国(厚労省)の定めた一定額(診療報酬)の枠内で病院はスタッフを揃えて検査、診断、治療を完結しなければなりません。 つまり診療報酬は国民の病気を診断治療するための予算であるわけです。
 
 医療技術の進歩、複雑化、高度化は著しく、新薬の開発も相次ぎ、これまで救命困難な病気も夢のような医療技術の進歩で回復される方も多くなっています。使用されるお薬も1粒6000円、1アンプル数万円と高額化し、さらには、重い病気を多く抱える高齢者の増加で、どこの誰がどう考えてみたって明らかに解るように、国民にかかる医療費はうなぎ上りです。 それにも関わらず、この10年間、国は医療費削減を謳い、多くの医療に無関心な方々も自分達の医療費を削減される事に非を唱える事も無く実に7%を越える診療報酬削減を容認し続けて来た訳です。 その結果、優れた治療法があるのに、保険でも認められているのに、診療報酬が少なすぎて、治療に必要な薬剤が使えないという現状も起きています。 それならば、患者さんが自費で払うから、その大切な薬を使いたいと言っても、今度は混合診療禁止の問題があり、叶いません。 また、診療報酬の削減は、手術や診断治療のコスト削減を意味しますから、手術に携わるスタッフや医師の人数も削減され、使用する薬剤もオリジナルではなく、安くて合法的なコピー商品(つまりジェネリック)しか使えません。 他業種ならいざ知らず、航空業界や医療におけるコスト削減は命に直結する危険を孕んでいる事を、皆さんがほんとに認識しているのか疑問です。

 上述するような事情で、人員削減、コスト削減のあおりを受けても尚、過酷な状況に耐え抜いて現場に最後まで残った数少ない医療スタッフ達の負担が極限に達した結果、ついに燃え尽きて次々と現場を去ったというのが昨今言われている小児科、産科領域をはじめとする医療崩壊の要因の一つであることも事実です(あとは訴訟の増加、、人命を救おうと尽力して、失敗すれば殺人罪に問われるという割の合わなさは医療スタッフだけかもしれません)。 そんなこんなで、この異常事態にようやく気付いた厚労省大臣や医療サイドは医療の正常な機能を維持するために必要な3−10%のプラス改訂を叫んでいた訳ですが、折からの大不況のあおりを受けて、財務省の医療費削減圧力に屈し、診療報酬わずか0.19%という事実上の無策に終わったのでした。 あとは、現行の予算枠内で、救急医療の拡充やインフルエンザ対策など喫緊の課題をやりくりするしかありません。 今も、病気と向き合っている患者さんやそのご家族などにとっても、病院勤務の医療スタッフにとっても厳しい年の瀬のようです。

 特に、癌や膠原病などに対する分子標的治療薬などの優れた新薬開発に伴う薬剤費の高騰は不可避です。一方、喫煙や運動不足、カロリー摂取過多、塩分のとり過ぎなどの不摂生からくる、一部のCOPDや糖尿病、高脂血症、高血圧など真の意味で生活習慣の改善で予防できるようなタイプの生活習慣病に対する本来必要の無いはずの医療費がかなり多いことは懸念すべき事です(誤解のないように言えば、上述した一部を除いてCOPD、糖尿病、高脂血症、高血圧の患者の多くは生活習慣のみが元で発症するものではありません)。 好きなだけ大酒を飲みながら、糖尿病と高血圧と高脂血症の治療を受け続ける方もいます。 タバコを吸いつづけながら、咳がなかなか止まらないと病院に駆け込む方もいます。生活指導を守ってくれないそのような方々がしばしば言う台詞があります”医療費はこっちが払ってんだ!つべこべ言わずに薬を出せ!それであんた達も食べてんだろ”。これは大きく間違っています、”ご自身が払っている医療費はたかだか3割どまりです、残りの7割以上は他の国民があなたのために保険料として払ってくれているんですよ”と一応説明したりすることもあるようですが、おそらく理解を得る事は至難でしょう。財政難で総額の改善が難しい現状、、医療費の配分の適正化を進めるしかないでしょう。そのような生活習慣病の一部は全額自費負担として、本当に医療が必要な小児や悪性腫瘍等の方々に必要な医療を届ける工夫をすべきなのかも知れません。 年金同様、我が国が世界に誇る国民皆健康保険制度も限界が近づいているようです。

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Tracked on December 26, 2009 at 12:14 AM

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