ブタのいた教室
ブタのいた教室
いまからしばらく前、とある小学校の新任教師が、受け持ちクラスで子豚を飼い、肥育して食べるという命の授業を行った。この、授業に関しては、昔ドキュメントをみた事があって、強烈なインパクトを記憶していた。 ほんとに、体当たりで教育を実践しようとする教師がいるんだなーと、妙に感慨を受けたものだ。やれ、アレルギーだ、衛生管理だ、危険だなんだと、普通ならブタのブの字も出ないうちに、他の教師や保護者から圧殺されたであろうこの誰もがやりたいのに、踏み込めなかった禁断の授業をほんとに実践してしまったのはその教師のなみなみならぬ情熱があったればこそなのだろうと思う。
映画は、その授業を原案として、妻夫木聡扮する星先生とそのクラスの子供達の体当たりのディベートを臨場感たっぷりにフィルムに写し取ったものだった。 皆で愛情を注ぎ育て上げた、小さなかわいい子豚のPちゃんを、自らの卒業を期に食べてしまうことが出来るのかどうか? 賛否もあわせて、そんな結末はどうでもいいことで、大人も子供も誰もが目を背けている生命の抱える矛盾を、自ら眼前に突きつけた上で、教師も子供も一人の人間として答えの出ない命題に苦悶するというその体験こそがこの授業の真意なんだろうと思う。 ただ、原作者も言うように、そのような教育にかける情熱を絶えず燃やし続ける事は実際上無理な訳で、静かに、長く、如何に多くの児童を安定して柔らかに導いて行けるか、、そういう教師像もまた理想の一つであろう。熱い人、冷めた人、厳しい人、緩い人、、、みな必要なのだろう。
しかし、やれ、豚肉が食べられなくなっただの、果てはPTSDだのと言い出す現在にあっては、せめてこのような映画で子供達に追体験をさせるくらいが限界。 正月3日に3歳−7歳の我がちびっ子3人を引き連れて、本作をじっくり鑑賞させていただきました。 世界を覆う、不況の波と、寝食すらままならぬ世界の人々、、今日も自宅の食卓では、無為に打ち捨てられた食材が、春を待つ我が菜園の肥やしへと形をかえて行く。 でもね、残しますよ、、僕は、、だって太ってきてるもの、、。 好き嫌いは良くない!が、出された分をまともに食らって、幼少期から肥満、成人病となり病院で薬付け、、これもいただけない。 消費が抑制されれば農家は食って行けない、、。生産調整で畑の作物を打ち捨てているのは、生産者自らの行為でもあり、問題はそう単純ではない。 ただ一点、生命への尊厳や、感謝の気持ちだけは決して忘れてはいけないと思う。
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