学校の対応が大変になるので、福島市の児童の放射能被曝許容基準を 1mSVから20mSV へ引き上げます!
福島市の各小学校から30Km県内の退避区域をはるかに上回る高い放射線量が検出され続ける中、多くの父兄が固唾をのんで待ち望んでいた、学校開校の是非を判断するための子供達の年間被曝量について、当初、原子力安全委員は放射線被曝への影響が強い子供達に対しては、安全のために年間10mSVを基準とするのが望ましいと提言。 この数値は、多くの世論からも容認されうる妥当かつ予想通りの数値であったため、この報道を以て、多くの市民が児童、子供達の登校に対してある程度の安全性が確保出来るのではとほっと、胸を撫で下ろしたところであった。 場合によっては、市内の児童学童が他地域で授業を受ける事になるとしても、親としては子供達の10年後−30年後の健康被害を避けられるなら容認出来る内容だったからだ。
ところが、ほどなく高木義明文部科学相が、この年間10mSVという基準を否定、危険手当などを貰いながら放射性物質を扱ったりする職業人と同じ年間20mSVを福島の子供達にも適応する方向という、これは一般人の許容線量の年間1mSVの20倍にもあたる数値である。
高木義明文部科学相が言うには福島の子供達の安全性を考慮して基準を作ると、校庭で運動が出来なくなったり、福島市内の学校が移動を余儀なくされるため、そんな面倒な事は出来ないというのだそうだ。 つまりは、行政にかかる負担を減らすためには、福島市内の子供達にはある程度の被曝は目をつぶって下さいということだ。
この年間10mSVとか20mSVとかの基準の妥当性はこの際どうでもいい、、というか、長崎、広島は別件としてチェルノブイリから僅か25年しか経っていない現在、原発事故後の長期影響のデータは存在せず、福島市の乳幼児や小学生達が40歳ー60歳になったときにどうなっているかについては根拠がそもそも存在しないのだから。 ただ、ストロンチウムなど骨への滞留を呈する核種の場合、ガンには至らなくても、将来30年後以降に白血病の前段階である骨髄異形性症候群を発症する頻度はかなり増加する可能性は現時点においては誰にも否定出来ない。がんのうちに入らなくても、これはかなり難儀な疾病であるから過去のデータの統計解析にはこれらグレーゾーンの影響が反映されていないことは明らかだろう。医療者や航空関係業界では”安全です”なんて言葉は絶対に使わない。世の中に安全なもの等ありはしないのだから。 だから大切なのは、冷静に解析と分析をすすめて、正しい解釈を導く事、、そしてそれを国民に示す事、、それがいま出来ていないのである。
確かに、飯館村という小規模なコミュニティーですら、その避難誘導には困難を極める中、行政を担当する政府等の立場では、福島市の小学校など教育環境を停止して他地域に移す等という事は、はなはだ実現困難な命題であり、現実的な政治的判断として、だれかが悪者にならねばならないわけで、公共の福祉、利益に資する点で高木義明文部科学相の判断は妥当であるのかもしれない。
ただ、残念なのは、今回放射能の専門家である原子力安全委員が提案した10mSV/年という子供達のための安全基準を、文部科学省が行政、政府の都合で圧殺し 20mSV/年へと引上げたことが、あまりにもあからさまに示されてしまった事だ。 政府が何を重要視して、誰を犠牲にしようとしているのか、、それがあまりに露骨に示されてしまった訳で、福島市で子供を育てている身としてはそれが残念でならない。
<高木義明文部科学相が教育現場、行政の負担増を理由に原子力安全委員の児童の安全性確保のための提案を否定!>
福島県内の学校の安全基準をめぐり、原子力安全委員会の代谷誠治委員が「成人の半分に当たる年10ミリシーベルト以下の被ばくに抑えるべきだ」と述べたことを受け、高木義明文部科学相は15日の閣議後会見で「委員の発言は、安全委全体の見解ではない。目標は20ミリシーベルトで、(基準厳格化により)学校を頻繁に移動させることはできない」と話し、考慮の対象としない考えを示した。
政府は大気中の放射線量による被ばくが年20ミリシーベルトに達する恐れがある地域を「計画的避難区域」とし避難を求める方針。代谷委員は13日の記者会見で、授業再開の目安について「少なくとも半分ぐらいとすべきだ」と述べた。しかし、文科相が14日の参院文教科学委員会で「基準は20ミリ」と答弁すると、代谷委員は同日の会見で「委員会決定ではなく、私個人の考えだった」と発言した。
文科相は発言の修正は求めていないとしたが、安全委事務局を兼任する加藤重治文科省審議官が代谷委員の会見に同席し、「文科省が主体的に判断すべきこと」と強調する場面もあった。 (2011.4.15)
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