ファイトレメディエーション(Phytoremediation)、植物を用いた土壌の放射性物質浄化、自宅の庭にはヒマワリか、、それともアマランサス?
最も放射性物質を吸着する植物は?アマランサス?ひまわり? それとも、、、。
原子力発電所からの放射性物質による土壌汚染を受け、福島県を中心としてファイトレメディエーション(Phytoremediation)という言葉が飛び交うようになりつつある。ファイトレメディエーション(Phytoremediation)とは植物が土壌中のカリウムなどの金属類を栄養分として根から吸収する性質を用いて土壌の浄化をはかるものである。 代表的な放射性物質であるセシウムがカリウムに類似した、ストロンチウムがカルシウムに類似した生物内動態を示す事から、それらの物質を効率的に植物体内に吸収する品種を汚染された土壌に植えて、土壌の浄化をはかろうというのだ。 学校の校庭は表土除去、、それなら自宅の庭はどうすればいいか?表土除去は到底無理、、そうなるとこのファイトレメディエーションは現実的な対応の一つとして非常に魅力的である。
チェルノブイリでもヒマワリや菜の花などの植物を使った土壌汚染の浄化が試みられているが、国内外のこれまでの知見から巷では、ヒマワリが放射性物質による土壌汚染に対するファイトレメディエーションに適した品種として認知され、各地でヒマワリを植えようキャンペーンが展開されている。 今年の福島県の夏の風景は太陽を仰ぎながら直立する力強いヒマワリに彩られる事は想像に難くない。 さて、このヒマワリ等によるファイトレメディエーションについては、3つの観点から懐疑的な意見も多い。 ひとつは、その効果の信憑性、、、。ヒマワリが放射性物質除去に関して脚光を浴びるもとになっている基本的な文献は、水耕栽培によるデータであり、放射性物質の溶存した水溶液中のセシウムをヒマワリが効率良く吸収したという内容です(Removal of uranium
from water using terrestrial plants, Environ. Sci. Technol.31(12), pp.3468-3474, 1997.)つまり、土壌中のセシウムに対して同等の効果が見込めるか確証が無いという点。 土壌中の放射性物質は核種により、土壌中の雲母等へ高い親和性を示し一度土壌に強固に吸着すると、植物が利用出来ない形態となってしまうため、効率が大幅に低下してしまう可能性がある。 次に、本当にヒマワリが優れているのか?他の植物はどうなのかという点、、、これは、いくつかの基礎データーから、放射性物質の核種によって吸収効率が異なるものの、決してヒマワリが最も優れているという訳ではないようで、ヒユ科のアマランサスもかなり有望なデータを出していて、ヒマワリの対抗馬として注目を浴びており、検討が開始されている様子。 もう一つは、植物中へ移行した放射性物質をどう処理するかという問題、、、不用意に焼却、埋め立てしてしまえばさらなる拡散を生んでしまうということを危惧する論調が非常に強い。 結局、植物云々といわずに、表土除去を国策として行ない、汚染土壌を集積した上で一括してファイトレメディエーションなり、化学処理なりを行ない土壌改良をすることが、いちばん効率も良く環境への影響も少ないはずである。
ただ、ファイトレメディエーションなどと大上段に構える以前の段階で、今回の事故で放射性物質で自宅の庭や菜園を汚染されてしまった多くの福島県民にとって、なにも作付け出来ず、むき出しになった露地を、ヒマワリをはじめとする草花で鮮やかに彩るというのは、放射性物質を吸着しようがしまいがそんな次元とは別の意味で非常に有意義なことだとおもう。 我が家も、楽しみにしていた家庭菜園が封じられ、荒れ放題となってしまった庭に、せめて美しい花の種をまこうと思うのだ。 いろいろ難しい事言わずに、福島にヒマワリ、、、良いと思います。
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